2012年08月15日

ロンドン五輪、祭りの後

IMG_3007ロンドン五輪が終わった。
睡眠時間と引き換えに、17日間、たっぷり楽しませてもらった。
正直、あれ以上続いてたら五輪が嫌いになってかもしれない?
サッカーW杯は1ヶ月くらい続くけど、毎日試合があるわけではないので休める。しかし、五輪は連日なので息つく暇がない。
17日間くらいが限界だろう
さて、もう終わったんだから、チャンチャンで良いんだけど、どんな五輪だったか後日、このブログを読み返す可能性があるので、興奮が冷めない内に一応書いておこうかなと

今回、日本が獲得したメダルは38個と、アテネ大会の最多37個を上回った。
内訳は金7、銀14、銅17。メダル総数ではなんと世界6位(1位:米国(104))
開催国である英国の獲得メダル総数は65個と全体4位だったが、金の獲得数では29個と3位だった。関係者各位、面目躍如というところだろう。
別にメダルがすべてではないのは百も承知。しかし、穫ると穫らないとではその後の人生が大きく違ってくるだけに、我々の想像以上にアスリートたちはメダルへのこだわりがある様だ。
だって、メダルってとてつもなく具体的。家族や友人、まだ見ぬ孫子にも見せたり、触らせることができ、そうしている彼らの笑顔を楽しむことができるのだ。また、「メダリスト」という言葉があるのも大きいのかも。アスリートにとってメダルは一生使える名刺なのだ。ちなみに今大会、日本は17日間毎日メダルを獲得した。

IMG_3008さてさて、僕が観戦した競技の中で、最も興奮したのは何だろう?
体操?水泳?柔道?重量挙げ?サッカー?バレーボール?レスリング?陸上?アーチェリー?卓球?フェンシング?テニス?バドミントン?ボクシング?自転車?トライアンスロン?.....
何気なく列挙したけど、そっかぁ、こんなにたくさんの競技の世界一を決めるシーンを観ていたんだから、そりゃ面白いわなぁ。
何気に、体操の内村くん、危ない発言があった誰も突っ込まないけれど団体銀が確定したあとの「2位でも4位でも一緒」という発言。あれは危ない発言だ。自分にとっては金でなければ2位も4位も違わないという気持ちは分かる。が、一緒に戦っていた他の選手、特に個人総合や種目別に出場しない選手にしてみれば、2位と4位ではえらい違い団体金へのこだわりを誰よりも持っていた内村くんだが、彼がこだわっていたのは団体金という「個人的な目標」だった。一緒に戦っている仲間の気持ちを理解していない、理解できないまでも無頓着というのはいけんでしょう。彼の実力があまりに圧倒的なのでマスコミも突っ込めなかったが、実は佐々木監督の「ドロー狙い」より危ない発言だった。僕は彼を責める気は毛頭ない。正直な気持ちだったのだろう。ただ、自分の至らなさに気付いた時、団体で金が獲れるんだろうなと思っているが、早速、個人総合で金を獲得した時、彼の顔は変わっていた。名実共に王者になると、見える世界が違うのかもしれない。自分が果たすべき役割が変わったことを自覚した顔になっていた。おっと、ちょっとマイナスなところから入ってしまったかな?失敬

IMG_3009印象に残ったセリフとしては、背泳ぎの入江陵介選手の「競泳は8日間において、27人で一つのリレーをしているようなものなので...」という言葉。これはアッパレじゃね。それと、松田選手の「3人で“康介さん手ぶらで帰らすわけにはいかないぞ”と話していました」というのも良かった。体操の内村くんも、将来、こういった言葉を後輩に言ってもらえるようにならんといけんね。
その他、海外では、男子20キロ競歩で銀メダルを獲得し、グアテマラ初のメダリストとなったエリック・バロンド選手(21歳)の言葉:「この銀メダルがグアテマラの子供たちに勇気を与え、彼らが銃やナイフを置き、その代りにトレーニング・シューズを手に取ってくれればいい」うーむ、次元が違う

IMG_2934卓球は、3人の笑顔がとても良かった。福原愛ちゃんの笑顔とか知ってたはずなのに、やはり銀メダル確定後の笑顔は格別だった。「そんなに嬉しいのかぁ」とアスリートにとってのメダルの価値をあらためて教えられた気がした。

IMG_2930密かに一番感心した瞬間は、フェンシング団体でエースの太田選手が残り2秒で同点に追いついた時かもしれない。圧倒的有利な状態から同点に追いつかれ、抜かれ、あーダメかと思ったところで追いつき、延長戦で勝利マンガでもここまで劇的にするのは気が引けるような展開だった。北京大会で銀メダルを獲得した太田選手だが、今大会は、代表チームの総力アップに尽力していたので、海外遠征にあまり行けず、個人での成績が残せなかった。それだけに団体の結果が欲しかったのだろう、とてつもない粘りだった。素晴らしい

優勝の瞬間は見逃したんだけどレスリング女子48キロ級で金メダルを獲得した小原日登美選手のそれまでのバックストーリーを後で知り、「偉いなぁ」と共に「良かったねぇ」と感動した31歳の彼女にとって五輪はこれが最後のチャンスだった。31歳?このくらいベテランだと知っていても良さそうなのに「小原って誰?」と思っていたら、旧姓「坂本」と聞いて「あー、はいはい、知ってる!」だった。世界選手権で8度も優勝していながら彼女本来の階級である51キロ級が五輪にないので五輪出場は今回が初。これまで二度の引退を経験し、鬱病にもなり、過食で体重が70キロ以上になった時もあったとか。諦めずに夢に挑み続けた小原選手、あなたはもうそれだけで金メダルなのに、本当に実現させてしまうんなんて!凄過ぎこういう話を聞くと、山本美憂さんとか「やっぱり私も!」と思ったりするんだろうなぁ。そのくらい五輪は魅惑的な舞台なのだろう。

IMG_2956銀メダルに終わった女子サッカーで一番驚いたのは、アメリカに敗れた時の宮間キャプテンの悲しみ様だった。彼女があんなに泣き崩れるなんて、まったく予想していなかった。思うに、宮間選手のあの涙、単なる個人的な悔し涙ではなく、金を獲得することがキャプテンとしての任務という想いがあり、それを叶えることができなかったのが悔しくて、いや、「申し訳なくて」流した涙なのではないかとそのくらいキャプテンとしての自覚と責任感を抱いて戦っていたのではないかと思う。
しかし、表彰式では一転しての笑顔あれは良かった。ただ、メダルを授与してもらう時に、ブラッター氏の顔も見ないでカメラ目線でピースという選手がいたのはちと残念。別に僕はブラッター氏のことを尊敬しているとかそういうのはまったくないが、誰であれ、あれは失礼。しかも彼としては、「おめでとう!」を全面に出したかなりサービス精神旺盛な態度だったのに、「おっさんだれ?眼中になし」という扱いだっただけに、内心、ブラッター氏、かなりご立腹だっただろう

一方、銅メダルを逃した男子サッカーはというと、試合結果もさることながら、勝利に酔った韓国の選手が「独島は我々の領土」と書かれたカードを掲げるという大変残念な行為をしてしまった。あのカードは選手が用意したものでなく、観客から受け取ったものだが、いずれにしろあの場でのあの行為はメダルを剥奪されても仕方が無い行為だ。まさか、あのカードに書かれた字が読めないということもないだろう。世界中には竹島どころではない隣国間の諍いがたくさんあるわけだから、そんな行為を許していたら五輪は成立しないということくらい、五輪憲章を読んだことがなくったって想像がつくだろうに一説には、誰も制止しようとしなかったのでチームぐるみの行為!?との声もある。ただ、今回の行為、たしかにあの選手がいけないのだが、本当の責任は、この前日に竹島に上陸した韓国大統領にあると僕は思っている。あのタイミングで竹島に行くなんて、焚き付けたようなものだろう。韓国では、メダリストは兵役が免除されるという特典があるらしいが、彼は免除されないとも言われている!?そりゃ酷過ぎる。というか逆だろう彼の銅メダルが剥奪されても兵役は免除しますよ、というのが大統領ができるせめてものお詫びだろうに。煽っておいて、あれはない。政治家って、本当に何でも利用するんだなぁ。酷い話だ。

IMG_2990あるテレビ番組のアンケートで、今回の五輪で最も感動したシーンの1位は、28年振りに銅メダルを獲得した女子バレーボールだった。確かに僕も感動したが、最も感動したのは3位決定戦ではなく、準決勝の対中国戦でしょう!!!!!!!あれは本当にシビレた
銅メダルを獲得した試合自体はそれほど厳しくはなかった。ただ、実況をしていたアナウンサーや解説の大林さんの涙、さらに、三宅アナウンサーの号泣とか、そういうのが相まって感動シーンになっていたのだろう。
東洋の魔女が金メダルを獲得した東京五輪。この時の必殺技は回転レシーブだった。今大会の必殺技はiPad徹底したIDバレーで、そのデータに基づき韓国戦の先発メンバーに起用した迫田選手が大活躍した真鍋監督が手に持っていた、いやはめていたiPadには、試合中も常に最新のデータが送られていたという。wi-fiが使えない会場もあっただろうに、どうしたのだろう?
なるほど、確かにデータ重視のバレーになったのかもしれないけど、守って勝つ、拾って勝つという日本女子バレーの伝統はまったく変わっていなかった。というのも、韓国戦、日本のブロックポイントは0点だったらしいこれは信じられないことだもちろん、ブロックをしなかったわけではなく、ブロックでワンタッチをとってレシーブし易くしてはいたのだが、それにしてもブロックポイントがゼロで勝利するって、どうやったん!?だって、1試合にブロックって100回くらいは飛ぶでしょう。逆にブロックポインをゼロにする方が難しいと思うほんとビックリだけど、これが出来るのは女子バレーだからなんだろうなぁ。男子バレーのスパイクはとてつもなく速いから、そうそう拾えないもんなぁ。

ということで、ロンドン五輪、楽しませてもらいました。2016年はリオデジャネイロだけど、果たして2020年はどこになるのか......東京!?うーん、どうなんだろうねぇ。国民が強く求めてないところで開催するのは、世界に失礼なような気がする。しかしながら、今、最終候補地として残っているのは、東京、スペインはマドリード、トルコはイスタンブールの3都市。スペインはバルセロナ大会があったばっかりだし、経済的にも厳しそうなので、本命ライバルはイスタンブールかと。実現すればイスラム圏初らしいので、イスタンブールが有利なような気もするが、実はトルコは2020年のサッカー欧州選手権にも立候補しているんだとか。同じ年にそんな大きな大会を2つも開催しようって、意気込みだけで実行力のない鳩山元首相みたいな方が率先してるってことはないよね?
東京開催についての最新アンケートをググってみたところ、こんな結果のようです。今回のロンドン五輪で、「やってもええかも」的な空気が高まっているのかと思いきや、反対が51%、賛成49%と意外な数字。そっかぁ。

さて、以上が僕の勝手な五輪の感想で、以下は勝手な自己分析
今回の五輪、僕がこんなに盛り上がってしまったのは、やはり震災の影響だと思う。
実は昨年、こんなことがあった。ある番組の年末の特大号を見ていた時だった。その番組の出演者たちが過去のVTRを一緒に見ていた。そのVTRに映し出されるスタジオの空気というか雰囲気に、僕は何ともいえない違和感を感じた。隙だらけというか、つまんないことでもすぐ笑う、ちょっとだらしないような空気があった。また、画面の中にいるタレントたちの表情も、とてもしまりがないように感じられた。大昔のVTRならともかく、その年の序盤のものなのに。
「何だ?この違和感?」
やがて、その理由がわかった。その違和感を感じたVTRは、3.11より前に放送(収録)されたものだったのだ。それは震災前の日本人の緩い雰囲気だったのだ。画面の中の彼らは、明らかに震災を体験していない、無垢な、ウブな、未経験な、子どものような人々だった。出演者も観客も大人も子どももカメラマンもディレクターも。だから、あんな無防備で、脳天気で、無神経な空気だったのだ。3.11以降、あのような緩い表情でテレビに出演している者はいなくなっていた。というか、そういうのを許さない空気が出来上がったのではないかと思う。かく言う自分も、確実に変わっていたのだろう。だからこそ気付いたのだ。
震災の被害を直接受けた、受けなかったに関わらず、僕らは、震災前と後では、別の人間になったんだと思う。何というか、無意識に不謹慎な行為をしないように気をつけながら、行動するようになっていたような気がする。自分に厳しくするのは構わないが、他者に、つまりは互いに厳しい目を向けていたような気がする。
震災後と戦後は似ているところがあると言われるけど、戦後はそれでも「解放」されるところがあったのではないかと思うが、震災後って精神的にずっと抑圧されたままのような気がする。どんなに軽薄な文化が流行っても、それでどんなにはしゃいだりしてる人がいたとしても、それは表面的にそうしているだけで、心からはしゃいではいない。本人ではないので実際のところはわからないが、そんな風に勝手に思っていた。
今回のロンドン五輪で僕は、
「ここは喜んでいいんだよね?」
「うん、これは良いと思うよ」
「別に国粋主義者とかそういうんじゃないものね?」
「そうだよ、頑張った人がいて、それが報われるシーンだもの、喜んでいいんだよ」
「不謹慎じゃないよね?」
「不謹慎じゃないさ」
と密かに、少しずつ、自己規制を解除し、喜んだり祝福したりするという人間として至極当たり前な気持ちを抱く自由を取り戻していたような気がする。
近年の五輪で、僕が今回最も楽しめた理由は、抑圧されていた情感を解放させてもらったからじゃないかと思う。
開催地がロンドンというのも多少はあったのかもしれないが、日本以外の土地で、自分たちも堂々と参加できる五輪というお祭りで、頑張ってきた人たちを応援し、それが報われるシーンを観て、喜んでいる彼ら彼女らの姿を見て、僕は自分の中の何かを癒していたんだろう多分

ちなみに、2020年の東京五輪、僕は賛成派です

waits2 at 00:02コメント(2)トラックバック(0)オリンピック | 社会 

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コメント一覧

1. Posted by 「や」   2012年08月20日 13:15
こんにちは。丸本さんの五輪レビュー興味深く読ませていただきました。内村くんのコメント、同感です。五輪の勝負後のコメントって感情が昂っているから素が出て面白いですよね。私は番外編として浜口京子の父の「最悪の結果」というコメントにドキッとしました。あまりにも父親が結果を求め過ぎ本人が萎縮?して結果が出なかったと思いました。それでも「最悪」はないだろうと。一緒に戦ってるが故の言葉だと思いますが、子離れ、親離れが出来ないと浜口さんは、、。男子柔道も篠原監督が親分的に指導する形で金メダルゼロ。やはりやらされるのではなく自主性がないとスポーツは結果がでないと思いました。
2. Posted by Tatsuya   2012年08月21日 01:35
どうもです、「や」さん(^^
確かに浜口親子は、見てると心配になってきますよね。早くお父さんには子離れをしてもらって、京子さんには次のフェーズに進んでもらいたいところです。
柔道、確かにここまで結果が悪いと、指導者の責任が問われますよね。ハートの鍛え方も含めたトータルな指導力が必要なのでしょう。
オリンピックやW杯のような大きな大会は、国民全員が監督になるので、選手も指導者も大変でしょうね。でも、注目されているということは何よりも幸せなことなので、プラス思考で臨んでもらいたいところですよね。

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