2012年12月08日

「哲子の部屋」

今年の夏、NHKのEテレで「哲子の部屋」という番組が放送された。
(あくまで「哲子」で「徹子」ではない
シリーズなのか、単発なのか分からないが、なんとなく番組タイトルを見て気になったので録画予約(こんなこと初めて)しておいたのを先日見たところ、意外に面白かった。
「世の中や自分のことを知りたくなければ決して見てはいけない『哲学』の番組です」
という案内から番組は始まるのだが、それほど重くはない
出演者は、吉木りさ(哲子役/グラビア腐女子)、國分功一郎(哲人役/高崎経済大学准教授)、哲夫(哲夫役/終わりコンビ笑い飯)の3人。
360度鏡(マジックミラー)で囲まれた小さな密室の中で、番組が用意したテーマについて哲学的アプローチで語り合うのだが、この時のテーマは、
「ぜいたくは敵!・・・なの?」。
なかなか興味深い内容だったので、自分自身へのリマインダーとして読み返せるよう文字としてまとめることにした。
とりあえず、番組の流れに従って書く。
目的がリマインダーなので、読み物としては成立しないかと思うけど、興味がある方はお読みください。

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IMG_0289テーマ:「ぜいたくは敵!・・・なの?」

まず「ぜいたく」のイメージ:
高級品、悪い、無駄、といったどちらかというとマイナスなイメージが浮かぶ。
言わば余剰なもので、
「ぜいたく=生存には必要ない」
と定義できる。
しかし、実は、
「ぜいたくは大切である」
「人は、ぜいたくをすべきである!」
「むしろ、ぜいたくさせろ!」
これをゴールに話が展開されていく。
ゴールというか、そんな風に常識に揺さぶりをかけて楽しむ。
一応、形としては3人で討論する雰囲気だが、実際は、哲人の國分さんが、哲子と哲夫をナビゲートしていく。

「ぜいたく」は、生存には必要ないものかもしれないが、例えば、高級フレンチを食べることが「ぜいたく」だとすると、「ぜいたく=豊かさ」とも言える。
となると、豊かに生きるには、「必要じゃないものが必要」と考えることができる。
ここで、「ぜいたく」を「浪費」という言葉に置き換えられるとすると、もう一つのキーワード「消費」という言葉が浮かんでくる。

「浪費」と「消費」の違いについて、ジャン・ボードリヤール(フランスの思想家・社会学者/1929-2007)が、次のように説明している:
人類は、これまでずっと「浪費」を続けてきた。
しかし、「浪費は、どこかで止まるもの」。
なぜなら、必要以上のものを受け取ることは不可能だから。
フレンチ料理を腹十五分まで食べることはできない。
ところが、つい最近、人類は全く新しいことを始めた。
それが、「消費」。
「消費」の特性は、止まらない。限界がない。
我々人類は、消費に駆り立てられている。
「浪費は止まる。なぜなら、満足するから」
「消費は止まらない。なぜなら、満足がないから」
なぜ、消費は止まらないの?
消費行動において、我々は、「モノ」を受け取っていないから。
「モノ」の代わりに、我々は「意味」や「イメージ」を受け取っているだけなのだ。
?どういうこと?
牛乳を買っても、我々は「牛乳」じゃなくて牛乳の「意味」を買ってるの??
食べ物を例に挙げて考えみると:「グルメブーム」
雑誌やテレビで紹介されたお店には行列ができる。
この行列に並んだ人々は、この消費において何を受け取ったかというと、「流行っているお店に来た」という「優越感」や「情報」といった「意味」や「イメージ」を受け取っている。
「イメージ」はいくら受け取っても腹いっぱにはならないので、際限がない。
「ブランド」や「デザイン」を受け取ってイメージを消費し続けても、人間は満たされない。

豊かさと共に拡大し続ける消費社会。
最近人類が始めたという「消費」は、なぜ生まれたのか。
「消費」は、資本主義の矛盾と限界の中から生まれたと言っても過言ではない。
大量生産が可能になった20世紀。だが、モノをたくさん作れば作るほど商品は余り、モノの価値は暴落する。そうして、世界恐慌は起こり、人類は世界戦争へと突き進んだ。
その矛盾を乗り越える方法が「消費」だった。
代表例が「モデルチェンジ」という発想。
企業は広告などの情報を使い、新しいモノ、流行、デザインというイメージを作り出し、人々の欲望を無限に駆り立てた。
では、消費は、豊かさや繁栄のための「必要悪」なのか?

「消費」は、必要でなくても、バンバン買わせることができる魔法のシステム。
モデルチェンジは、その戦略の一つ。

さらに、ボードリヤールが着目した「消費」の意外な例がある。
それは、「個性」。
個性は、消費社会が「個性は大切ですね」「あなたはこういうモノを消費してこういう風にあなたらしくなってください」「あなたの個性を消費によって見つけてください」といって上手く煽っている一つの強力な「イメージ」である。
しかし、個性って何だ?
特に何もしなくても、自分が自分でいるだけで個性はあるのに、消費社会は、「本当のあなたの個性はどこかにあるので、消費してそれを探し求めに行ってください」という風に煽っている。
我々は、単に煽られ、操られている。
かといって、アンチ消費的な態度をとったとしても、それも「消費社会」に反抗する「イメージ」に煽られた行為に過ぎない。
我々は消費社会に閉じ込められて、あがいているだけなのか。
「消費社会が人を煽っている」と言えるかもしれないが、その実、「○○系でありたい」とむしろ消費者自身が消費社会のメカニズムを動かしているとも言える。
この消費社会の外に出ることは、不可能なのか?

ここで再度浮上してくるキーワードが、「浪費」。
意味、情報、イメージではない、「モノ」そのものを受け取ることで、満足が得られるという「浪費」。
つまり、「ぜいたく」することによってこそ、無駄遣いがなくなるのだ。

消費社会は、環境問題と切り離せない。
大量生産、大量消費、大量投棄、これは続けられない。

それぞれの満足度でぜいたくは決められるが、消費者のままだと、延々と消費を続けるだけ。

「ちゃんと「ぜいたく」してますか?」
という言葉で番組はしめくくられた。

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これが放送されたのは8月28日と、節電が騒がれた夏、真っ盛りの頃。
故に、このテーマだったのかも。
消費を促すためのエンジンとして、番組では「モデルチェンジ」と「個性」を紹介していたが、モデルチェンジは、真っ当な戦略なので驚きはないが、「個性」というのは、目の付け所として鋭い。
というのも、「モデルチェンジ」は、商品を提供する企業側の牽引力だが、「個性」は消費する側に装備させた言わば隠しエンジン。
うーむ、誰の謀略?
謀略というか、世界大戦後、少なくとも西側諸国は共に「これでいきましょう」と示し合わせた常識なのかも?
番組としては、一見マイナスイメージの「浪費」が、実は真の満足を提供してくれる、という冒頭に設定したゴールにたどり着き、「常識に揺さぶりをかけたぞ!」と一仕事終えた感じだが、見ている側には、少々疑問が残った。
例えば、行列のできるお店で「消費」と「浪費」を説明していたが、日頃から色んなお店の情報をチェックし、「ここが美味しいそうだ!」と行列に並んだ人にとっては「消費」、一方、今日は給料日なので、近くの美味しいお店(たまたまそこが行列ができるお店)で食べようと並んだ人にとっては「浪費」、こういう解釈で良いのかな?
つまり、同じ行列に並んでいる人でも、「消費」をしている人と「浪費」をしている人がいる、ということで。
しかし、わざわざ調べて並ぶって行為も、ある意味、かなり贅沢な行為のように思えるのだが...となると、こちらも「浪費」と言えるような...
うーむ、判断、難しいなぁ。
本当の意味での満足をもたらす行為かどうかは、事前に頭で判断できるものではなく、『最近不眠症なんだけど、もしかして「消費」しかしてないからかなぁ?』と、何かしら病状?症状?が出てきた時しか判断できないの?
おっと、ここで再び加筆説明を
番組では、「ファイト・クラブ」(主演:ブラッド・ピット、1999年製作)という映画を「教材」として紹介していた。

主人公ブラピは、消費社会で疲れ果て不眠症に陥ったような人々を集め、互いに殴り合わせ、肉体的苦痛というリアリティで心を満たし、殴り合いの後互いに抱擁して満足を体感する「ファイト・クラブ」を結成する。ある種のセラピー的なクラブかと思いきや、ブラピの真の目的は、メンバーを増やし、彼らを洗脳し、消費社会に対してテロ行為を行わせる、というものだった。

満たされない生活をするというのは、そのくらい危険というサンプル教材。
やはり、消費か浪費かは、不眠症のような肉体的症状が出ない限り分からないのだろうか?
でも、事前に判断できなければ、意味がないよなぁ....
ん?待てよ、
そういえば、よく女性は、ストレス発散で買い物をするというが、それこそ「浪費」行為による心的満足を得る行為そのものではなかろうか
つまり、あの買い物は、とても健全で健康的な行為!ということになる
おっと、世のご主人様、奥様方にこのブログは読ませない方が良いようですね
もしくは、家庭内「ファイト・クラブ」を結成するとか

waits2 at 01:10コメント(0)トラックバック(0)テレビ | 生活 

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